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20140414-1

訪問看護ステーションみき 藤井幸代

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訪問看護師として初めての看取りを経験しました。心温まる看取りでした。

Aさんは90歳代の女性で、息子さんとの2人暮らしです。がんと診断されましたが、根っからの病院嫌いのため治療を拒否され、家族も治療をあきらめていました。

9か月たったころからがんが肺に転移し、食事が摂れなくなっていました。この頃はまだ介助でトイレ歩行や入浴ができていましたが、だんだん動けなくなっていました。5人の子どもで分担して介護が始まり、訪問看護は週1回でした。

 

亡くなられる2週間前に家族からSOSの電話がありました。「夜中1時間おきにトイレに行きたいと言って困った。おしっこの管を入れてほしい。先生に相談してほしい。」という内容でした。訪問すると朝方におむつに排尿があったとのことで、Aさんは尿を気にして眠れず、家族も疲れていました。
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この日から毎日訪問に切り替え、状態観察と清潔ケア、家族への支援を行いました。看護師が行ったおむつ交換を見た家族が「おむつのつけ方がきれい」と話されたそうです。

初めて介護される家族にとって、介護のコツを伝えることが大事だと教わりました。「在宅で看取る」ことになり、12日前に看取りのパンフレットを使って説明をしました。

病状は進行し、嘔吐、下痢、体中の痛み、呼吸困難などが強くなり、血圧測定が難しくなりましたが意識はほとんど最後までありました。

家族はずっとAさんに寄り添い、唇が渇けば水でうるおし、背中が痛い時は背中に手を入れて擦り続けました。亡くなられる2日前に、「ご家族の方へ、旅立ちまでの身体の変化と対処法」を使って最期の準備を説明しました。この時には心の準備ができていました。

日付が変わろうとする頃、「先ほど呼吸が止まりました」と連絡がありました。訪問した時には、Aさんは胸に手を重ね数珠をかけていました。最期は家族に見守られ、苦しむことなく静かに息を引き取られたそうです。
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医師の診察を終え、「一緒にお母さんの体をきれいにしませんか」と声をかけ、兄弟全員でエンゼルケアを行いました。長い間お風呂に入れなかったのでシャンプーをしました。家族が見つめる中でのシャンプーはちょっと緊張しましたが、とても喜んでいただけました。

ドライヤーをお願いすると息子さんが櫛を片手にブローして下さいました。娘さん達とからだの清拭をし、更衣には息子さんも参加されました。「お母さんのおかげで私たちは生き延びられたのよ」と、小さかった頃の思い出を話してくださいました。Aさんが語りきれないほどの苦労をされた分だけ、お子さんたちと絆が強いのだと感じました。

顔のマッサージをしました。マッサージクリームがなかったのですが、Aさんお気に入りのアロエクリームで丁寧に行い、最後にお化粧をお願いしました。娘さんが「お母さんは持っていないから私のでしてあげる」とお化粧をして下さいました。

「お母さんの肌はほんとに綺麗ね、私たちより皺が少ないわ。卵の殻についた白身を顔につけて手入れしていたのを思い出すわ。」と話しながらファンデーションを乗せると、優しい表情が現れました。思わず「本当にきれい!」と声を揃えました。

 

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毎日訪問を始めて2週間の短いかかわりでしたが、心が温まる看取りを体験させていただきました。「在宅での看取り」を希望しても条件がなければ難しいのが現状ですが、訪問看護師として、困ったことの解決や苦痛の緩和に少しはお役に立てたのではないかと感じています。

「住み慣れているから自宅が好きなんですか?家族の笑い声が聞こえるから好きなんです」

これは私たちが大事にしている言葉です。
人生の最期を、家族のぬくもりが感じられる自宅で過ごせるよう、お手伝いしたいと思っています。
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