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 日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2007 年6月号のコラム「社会派 しんさつ室」に掲載された文章を転載します。

「終末期医療」について組合員さんと語ろう
(第73回 6月29日 )

 厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会」が、延命治療の中止などに関する手続きを定めた「終末期医療の決定プロセスのあり方に関するガイドライン(案)」を明らかにしました。

 治療方針の決定は、患者の意思が確認できる場合と確認できない場合の二通りに分けられています。

 患者の意思が確認できる場合は「患者の意思決定を基本とし、多専門職種の医療従事者から構成される」チームで決定されます。問題は意思が確認できない場合で、家族が患者の意思を推定できる場合は「推定意思を尊重する」、推定できない場合は「家族の判断を参考にして」治療方針を決定する、などとなっています。

 今回の指針はあくまでもガイドラインであり法的な拘束力はないため、この通りに対応しても医師が刑事責任を問われる可能性がある、治療中止する医療行為の具体的な内容が明らかではない、など十分なものではありません。

 しかし、延命治療の中止について、国民の意見が反映する制度に改善していく上で、大事な問題提起だといえます。

 米国ではすべての州に患者の意思を明確にしておく法律があり、事前指示(advance directive)と呼ばれています。意識がなくなるなど自分自身で意思を決定できなくなった場合の代理人を指定する、終末期における治療内容についての希望を明確にして、あらかじめ届け出を行っておく制度です。

  医療生協の中には、「リビングウイル班会」など、同様の試みを始めているところもあります。ガイドライン策定や制度の整備も重要ですが、「生きる」ことだけでなく「死ぬ」ことについても、班会や医療活動の中で取り上げていく必要があるのではないでしょうか。

 

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