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WHOの提唱する「アクティブ・エイジング」(その3)
(第117回 12月11日 )

 第 112 回の続きです。

 人口高齢化は全ての国の課題です。本書では、その課題を7つに分けて述べています。

 第1は、発展途上国では感染症とのたたかいと同時に高齢者の増加に伴う心臓病・がんなどの慢性疾患という「疾病の二重負担」が存在するという問題です。(先進国においても、衛生面に関連する感染症は減りましたが、新型インフルエンザ、HIV、O−157など従来なかった新たな感染症が問題になっていますが)。

 2つ目は、途上国でも先進国でも慢性疾患は身体障害と生活の質の低下重大な原因となり、コストもかかります。また、高齢者の自立性が脅かされます。

 3つ目は、ケアの提供です。自分で自分の面倒をみるセルフケア、保健・社会福祉などの公式のケアがバランスよく提供されることが重要です。

 4つ目は女性の高齢化で、殆どの地域で女性は男性より長生きします。多くの国で、女性は家族の世話をしているために所得が低かったりゼロのこともあり、社会的に不平等を示しています。

 5つ目は倫理的な問題と年齢差による不平等です。所得の少ない高齢者が保健サービスや制度決定の仕組みから排除されることには大きな問題があります( 75 才になった瞬間に新たな保険制度に移行し、医療内容も変更される後期高齢者医療制度などはその最たるものです)。

 6つ目は高齢化の経済学です。高齢者が増えると医療費が増えて大変だという意見はどこの国にも見られますが、OECDのデータによると、医療費増加の原因は人口の高齢化とは無関係であるとされます。

 7つ目は新しい仕組みの構築です。高齢者が積極的に社会参加できるような仕組みが必要とされています。

 これらの課題に対する政策的な対応として、健康分野、社会参加、安全な環境づくりが重要であるとして具体的な提案を行っています。そのためには、国際的な協調が重要であると指摘しています。

 「WHO「アクティブ・エイジング」の提唱」の紹介は、今回で終了です。

 

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