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 地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。2007年10月28日号(1402号)に掲載した「医療費適正化計画(II)」です。

医療費適正化計画について
(第118回 12月14日 )

 前回 3 つの計画について触れましたが、都道府県は「入院日数の短縮化」に向けた計画を作らなければいけません。厚労省は病床数と一人あたりの医療費には相関関係がある。従って病床数を減らせば、医療費も削減できるし、(病床を担当していた医師が他の仕事ができるようになるので)医師不足に対する対策にもなる、と考えているようです。

 平均在院日数は、全国平均が 36.3 日に対し、 1 位(最短)が長野県で 27.1 日です( 2004 年病院報告)。全国 1 位にどれだけ近づけるかが目標になります。

 日本の病床は大きく分けて、肺炎や脳卒中など主に急性疾患が入院する「一般病床」、慢性期の方が長期入院可能な「療養病床」、精神疾患が入院する「精神病床」などに分かれます。日本は欧米に比し入院期間が長いといわれますが、一般病床の在院日数は 20.2 日で以前に比べかなり短くなっています。精神病床は、全体に占める割合は小さいため、厚労省の狙いは「療養病床」に絞られています。

 2012 年における香川県の在院日数(以下、日数)の目標は、以下の式で計算します。

(香川の日数)−(最短県の日数の 3 分の 1 )
38.0 −( 27.1 / 3 )= 29.0 ※香川県の数値は 2001 年

 つまり、 5 年間で 8 日間、 1 年で 2 日近く短くするのは、病気が良くならないうちに退院はできないし、香川県の一般病床の平均在院日数は 23.1 日ですから、そう簡単にはできません。結局、在院日数の長い療養病床( 211.8 日)を減らす以外にない、という事になります。

  療養病床の削減に当たり、退院後の行き先は「在宅」が中心となりますが、ここでいう「在宅」とは、「自宅」だけではありません。老人保健施設、有料老人ホーム、ケアハウス、高齢者専用住宅なども含んでいます。

 高齢化の進んだマンションの一階に訪問看護や訪問介護ステーションやグループホーム、診療所から往診や終末期の見とりも可能、入院させないシステムづくり、というのが厚労省の描くイメージです。

 在宅死について、厚労省は 2005 年の医療保険部会で露骨な計算を行っています。

 終末期医療をめぐる現状は、自宅での死亡が約 2 割、終末期を自宅等で送ることを希望するが約 6 割になっている。死亡前 1 ヵ月の入院医療費は年間約 9000 億円。自宅等での死亡を 4 割にし、そのための在宅医療提供体制の充実を行うと「医療費適正化効果」は 2015 年で約 2000 億円になる。

 結局、医療費の節約が目的であることを示しています。

 

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