あなたにもあげたい 笑顔 健康
TOPヘ 香川医療生活協同組合

地域包括支援センターのありかたを考える
(第173回 7月22日 )

 介護労働安定センターが「平成19年度介護労働実態調査結果」(「実態調査」と略)を公表しました。全国の介護保険サービス事業を実施する事業所から無作為に抽出した17,146事業所を対象にアンケート調査を実施、4,783事業所(有効回答率28.6%)、51,438人(有効回答率は26.0%)から回答を得ました 。

 2000年4月に開始された介護保険制度は、2003年4月、2005年10月、2006年4月と3回の改定が行われ、その都度介護報酬は引下げられました。2005年10月の改定では、居住費・食費の保険給付外しが行われました(この改定に連動する形で、2006年10月から医療保険の療養病床でも食費等の保険外しが行われました)。

 2006年4月の改定では、要支援、要介護1〜5の6段階の認定であったものが、要支援1・2、要介護1〜5の7段階に変更になりました。従来の要支援が要支援1に、従来の要介護1が要支援2と要介護1になったものです。従来要介護1と認定された方の40%以上が要支援2に引下げられ(香川県データ)、介護報酬も60%程度に引下げられました。

 こういった人為的な介護報酬の引下げの影響が「実態調査」でも明らかになっています。事業所の64.7%が「今の介護報酬では人材確保等に十分な賃金が払えない」、「経営の効率面」での対応については18.5%の事業所が「人件費総額を圧縮した」と回答しています。そのため、介護労働者の離職率が全産業平均の離職率16.2%を大きく上回り、前年度より1.3%アップし21.6%にのぼっています。離職者の4分の3が3年未満で退職しています。

 2006年4月改定では、新たに設定された要支援1・2と認定された方への「介護予防通所リハビリテーション」が月額の定額制に変更になりました。つまり、週に何回来ても事業所の収入は同じになったため、条件によっては事業所の収益減につながるようになりました。

 週に何回の通所リハビリが適切かは、ケアマネジャーがたてるケアプランにより決められます。ところが、香川県では、自治体が設立した「地域包括支援センター」のケアマネジャーが利用者に対し、「ケアプランの回数よりたくさんのサービスを利用させて下さい」と事業所にいうように指導していることが明らかになりました。

 本来は利用者と相談してケアプランを変更し事業所と相談しなければいけないので、「法を遵守してケアプランを変更すべきではないか」と指摘すると、「他の事業所ではやってくれます」と事業所を変更してもよいといわんばかりの口調で居直るそうです。

 ケアマネジャーがプランを立てなければ利用者は減少しますから、ケアマネジャーは事業所より強い立場にあります。その立場を利用して、低介護報酬のつけを事業所に押しつけるのは、「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助」を行うという地域包括支援センターの本来のあり方から大きく逸脱しているといわざるを得ません。

 介護報酬の大幅引き上げと共に、地域包括支援センターが本来の役割を果たすように改善することを求めるものです。

 

以下のHPを参考にして下さい。
http://www.kaigo-center.or.jp/report/h19_chousa_01.html


関連項目へ “飛来峰”バックナンバー

TOPへ 香川医療生活協同組合