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 第27回香川県保険医協会定期総会が、6月22日に高松市内で開かれました。記念講演として、「医療改革−希望の芽の拡大と財源選択」と題して日本福祉大学の二木立教授の講演が行われました。しばらく、その内容を紹介したいと思います。

保険医協会総会で二木立教授の記念講演が行われました(1)
(第174回 7月25日 )

 6月17〜19日と、医療改革あるいは社会保障改革に重大な影響を与える3つの政府文書・厚生労働省の文書が出ました。いろいろ問題点はありますが、希望の芽が出てきた点がはっきりした。絶望するだけでは不十分だということを強調したい。

 私は、医療改革の志を保ちつつリアリズムとヒューマニズムの複眼的視点から検討する。この両方をいかにバランスよく保つかということに、いつも苦心しています。また、医療政策を分析する場合には、私自身の事実認識、それから客観的将来予測、それから自分自身の価値判断に3区分して検討するようにしています。事実認識というのは私が事実と認識することです。客観的将来予測という言葉は、事実認識の延長で、私の価値判断、医療がどうあるべきかということはとりあえずわきへ置いて、現在の政治経済、社会的条件が大枠で維持されると仮定したら、起こる確率が一番高いところ、これを客観的将来予測と呼んでいます。価値判断は言うまでもありません。この3つを区別して、それぞれの根拠を示すということをモットーにしています。3番目はフェアプレイ精神で、公明正大に議論を行うということです。こういう3つのスタンスから研究をしています。


二木先生の講演風景です

 きょうの講演のテーマは、最近の論文や本に書いたものです。1つは、『日本医事新報』の2007年5月25日号に「医療改革−あえて希望を語る」という論文を書きました。2つ目は昨年出版した『医療改革−危機から希望へ』で、第1章で世界の中の日本医療とよりよい医療制度を目指した改革について、包括的、集中的に書いています。3番目に、『日本医事新報』にこの1年間の変化を踏まえ、「医療改革−希望の芽の拡大と財源選択」という論文を5月に書きました。

 きょうは大きく3本柱でお話しします。第1の柱は、この1年間の医療改革の希望の芽の拡大、2番目に今後の医療改革の焦点となる2つの閣議決定の見直しの可能性を指摘します。3番目に公的医療費の増加の財源選択について、今どんな立場があるか、私自身の価値判断を述べたいと思います。

 まず第1の柱です。医療改革の希望の芽の拡大。1つは医療制度改革、肯定面と医療者の自己改革の動き。2番目は新聞の、全国紙ですけれども医療問題の報道姿勢の変化。第3は安倍政権が実施した、小泉政権の医療・介護・福祉抑制政策の部分的見直しということです。安倍政権は福田政権に変わりましたが、この1年間どんな変化があったんだろうかという点を見たいと思います。

 私は、第1の「希望を述べる」で言いたいことは、全体的には非常に厳しい、過酷であるように見える医療制度改革の中にも、国民、あるいは医療従事者から見ても、肯定的に評価できるものが少しはあるということです。

 制度改革で特筆すべきものは、予定を含め3つあります。文句なく強調すべきものは、社会医療法人の本来業務の法人税非課税化が実現したことです。社会福祉法人と経営条件に関してみれば同じラインに立つわけだということです。また、日本医療機能評価機構の産科医療の無過失保障制度の運営組織準備委員会が報告書をまとめて、今年度中に産科医療の無過失保障制度が発足する見通しが生まれました。3番目は、厚生労働省が今年の4月に、医療安全調査委員会についての第三次試案を発表したことです。

(次号に続く)

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