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 地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。2008年8月24日号(1432号)に掲載した「後期高齢者医療 5」です。一部修正しています。
2008年度から始まった「特定健診」の問題点
(第189回 9月30日 )


 「民主香川」2007年8月26日号(1396号)で、健診制度が大きく変わり、2007年度までの老人保健法に基づく基本健康診査(いわゆる自治体健診)が廃止され、特定健診・特定保健指導が始まることを紹介しました。

 今回の制度変更により、「健診」の対象は40才から74才までの方に限定されることになり、75才以上の後期高齢者の方の健診は、各都道府県の努力目標となりました。

 しんぶん「赤旗」によれば、2008年5月20日付「公明新聞」は後期高齢者医療制度について特集し、「75歳以上の健康診断 すべての都道府県で実施されます」と書いているそうですが、これはウソです。徳島県では、75才以上の方は、歯科を含めて直近1年間に1枚もレセプトがない方だけを特定健診の対象としています。そのためこれまでなら受診可能だった約11万人に対し、対象者が3700余と3%程度になっています。これは、明らかに年齢による差別制度です。

 厚生労働省は2月6日に開催した都道府県担当者の会議で、75歳以上の健診対象者のうち服薬中の患者を「絞り込む」方針を明らかにしました。具体的には、(1)血圧を下げる薬、(2)インスリン注射又は血糖を下げる薬、(3)コレステロールを下げる薬、のいずれか一剤でも服薬していることが、健診機関の受付での問診表で確認されれば「治療中につき健診は必要なし」とみなし、対象者から除外することを求めています。

 香川県では、2008年度については後期高齢者であっても対象から除外されることなく、特定健診を受けることができますが、来年以降については未定です。

 現在行われている特定健診に使用されている用紙に、高血圧・糖尿病・脂質異常に関する薬剤名を記入する欄があり、これが来年度以降後期高齢者の健診受診の抑制に使われる可能性も否定できません。

 いずれにしても、後期高齢者だから健診を受けなくてよい、といった「差別医療」を許さない運動が重要となっています。

 健診の内容も問題です。前回触れたように、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の該当者・予備群の発見、2015年までに25%減少することを健診の目標に矮小化しています。そのため、これまで、医師の判断によって可能だった心電図検査・眼底検査が事実上不可能になりました。また、徐々に増加している腎臓疾患の早期発見については、尿検査(尿蛋白)があるからという理由で、血液検査項目からクレアチニン検査(腎機能を表す数値)を除くなど、健診内容はむしろ後退しています。

 このため、昨年度までのデータとの比較ができず、受診者の中にも混乱が起きています。

 この面でも内容の充実を求める運動が必要となっています。

 
 
  ※筆者の都合により、10月3日は休載とします。次は、10月7日です。


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