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「派遣切り」を容認する県知事の発言に抗議します (第228回 3月13日 )

 ベトナム訪問の内容を連載する予定でしたが、3月12日の新聞にとんでもない記事が載っていたので、雇用問題について触れることにします。

 非正規労働者とは、パートタイマーやアルバイト、派遣労働者など、期間の定めのない労働者(常勤雇用)以外をさしますが、総務省の統計では、1984年の時点では労働者全体の15%だったのが、2007年には35.5%に増加しています。主な原因は、「派遣労働者」の増加によるものです。

 労働者を企業に貸し出して利益をえるいわゆる「人貸し業」は、戦後、職業安定法で禁じられましたが、1985年に労働者派遣法ができて、通訳などの極めて専門性の高い業務を限定して公認されました。1999年に、港湾、建設、警備を除く業務に広げるという「原則自由化」が与党、民主党・社民党などの賛成多数で大改悪され、それ以降急速に広がって来ました。

 2004年には対象業種が製造業にも解禁、当初は1年間とされた期間制限は、2007年に3年間へ延長されたため、この3月以降派遣労働者の契約期間が一斉に切れ始めることになったものです。つまり、「派遣労働者」は、業種・仕事の内容に関わらず存在するという実態があります。

 前置きが長くなりましたが、3月12日付け「朝日」香川版は、「景気の後退で県内企業も収益悪化が顕著になってきた。景気好転の「処方箋」をどう描いているのか、各界のトップら4人に取り組みを聞いた」として、第1回の真鍋武紀香川県知事のインタビューを掲載しています。

 「非正規労働者」の雇用が危ない、という東孝司記者の質問に、

 「非正規の仕事は誰にでもできて代わりがきくものが多い。だから雇用の「調整弁」に使われる。非正規が増えて国全体が大変になっている。低賃金では税金も入らない。調整弁にならないための職業訓練を充実させたい。付加価値の高い労働者になって欲しい。「訓練まではしたくない」「その日暮らしでいいから放っといてくれ」と言われれば、国や県は何も対策をせんでいいんです。助けて欲しいという人、努力をしようという人を助けないといけない。」と真鍋知事は回答しています。

 先に述べたとおり、「派遣労働」はすべての職種に存在しており、「誰にでもできる」とは限りません。また、誰にでもできるからといって、勝手にクビをきっていいという事はないはずです。国が「派遣労働」が法制化したから増えているのですから、「非正規が増えて国全体が大変になっている。低賃金では税金も入らない」などという言い分は、常識があれば通らない論法です。

 いま全国で、「職」と同時に「住」も失う派遣労働者が増加している中で、失業した労働者が「訓練まではしたくない」「その日暮らしでいいから放っといてくれ」などといっているかのうにすり替えるのは卑劣なやり方です。

 どの角度から読んでも、企業と大株主の利益のみ追求するために、派遣労働を導入し大もうけしている大企業の立場に立った暴論といわざるをえません。

 発言の撤回を強く求めるものです。


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