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 日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2009 年8月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.36」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。

高齢者の生活実態から社会保障を考える (第270回 9月4日 )

 Aさん一家の引っ越しが無事終わりました。往診時に夏はウチワが必須、冬の晴れた日には家の外に出た方が暖かいという住環境でしたが、これで一安心です。

 いずれも障がいをもつ妻と長男が、高齢で要介護5の患者を支えて生きる三人家族ですが、転居のお手伝いをする中で、高齢者の「住」を取り巻く現状が垣間見えました。

 家探しの折、Aさんの姉が保証人に名乗りをあげました。当然高齢者です。しかし、いざ契約となると信用保証会社の審査が必要で、65才以上の人、年金生活者や生活保護の方ではダメだといわれました。

 「いつリストラされるかわからない若者より、年金受給者の方が収入は安定しているのではないか」「これまで一度も家賃を滞納したことはない」と主張しましたが、らちがあきません。幸い、保証人不要の家が見つかったため、とりあえず解決しました。

 「高齢者や収入が不安定なボーダーの人が切り捨てられる。おかしいですよね」と、不動産屋の担当者はいいます。「国は、ムダなところにばかりお金をつかっているが、もっと介護保険や国の政策できちんと必要な支援をすべきです」最初は冷たく思えた責任者の方がいいました。

 「後期高齢者医療制度」「年金」など、制度の問題に焦点が当てられがちですが、現場には、私たちの気付かない問題がたくさん潜んでいるように思います。

 今回の取り組みの中で、日頃からお世話になっている電気屋さんやガス屋さんにも機敏に援助をしていただき、地域の中での生活支援のネットワークの大切さも実感しました。

 「第23回日本高齢者大会」が、9月14日〜15日に大分県別府市で開催されます。高齢者を取り巻くさまざまな問題を交流し、全国の知恵を寄せ合う場でもあります。全国の医療生協の力で成功させたいと思います。

 ※ 都合により8日(火)は休載です、次回は11日(金)です。


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