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「事業仕分け」に思う(2)――「思いやり予算」について
(第292回 12月4日 )

 11月26日の「事業仕分け」の中で、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)が取り上げられました。内容は、全国一律の基地労働者の給与水準について「地域ごとの賃金水準を考慮する必要がある」とし、「見直し」を求めるものでした。

 そもそも、「思いやり予算」とは何でしょうか。日米地位協定で第24条では、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は」、基地などの施設の自由使用や税金の免除など「日本国が負担すべきものを除」いて、「合衆国が負担することが合意される」となっていました。防衛庁(当時)も元々「備品をつくる、設備をつくる、家を建てる、これは(米軍が)自分でやるのが建前になっている」と説明して来ました。

 これが、1978年米国が財政赤字を理由に日本に負担を要求し、当時の金丸信防衛庁償長官が「思いやりの精神があってもいいじゃないか」と発言し、日米地位協定違反の駐留経費負担を行って来たものです。

 1978年度に62億円だったものが2008年度は2083億円になり30年余りで5兆円をはるかに超える額になっています。基地労働者の賃金が問題なのではなく、「思いやり予算」そのものが「事業仕分け」の対象になるべきなのです。

 なぜ問題なのか、例えば、司令官用住宅は床面積が74坪で、4つの寝室、3つの浴室、32畳のリビングルームと18畳のダイニング、将校用の高層住宅は42坪で24畳のリビングつきで高級マンションそのものです。嘉手納基地の小中学校は面積16.1万uで、400mトラックの陸上競技場、フットボール場、ソフトボール場、バスケットコート2面、テニスコート2面、プールなどを持っています。これらが私たちの税金で作られている訳ですから、「ムダづかい」以外のなにものでもないと思います。

 基地労働者の賃金が問題にされていますが、基地従業員の職種をよく見ると、バーテンダーやコック、ボウリング場のマネージャーや作業員、機械修理工というのもあります。ゴルフ場のクラブマネージャー、コース整備員、宴会係、ケーキデコレーターと、何でもありの世界です。

 見直すべきは、「思いやり予算」そのものではないでしょうか。

 注:安保破棄中央実行委員会発行の「思いやり予算と米軍天国」(2008年10月発行、¥400)を参考にしました。


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