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療養型病床削減に異議あり
(第92回 9月7日 )

 慢性期の長期入院の役割を担っている、療養病床の削減が決まっています。医療保険対応 25 万床、介護保険対応 13 万床の計 38 万床の療養病床( 2006 年)を、 2012 年に医療保険対応 15 万床に削減し、介護保険対応を廃止して、老人保健施設や有料老人ホーム、ケアハウス、高齢者専用住宅などで対応するというものです。

 厚労省はその理由として、「療養病床の入院患者のうち医師の対応がほとんど必要ない人が概ね5割」いるとしています。しかし、この数字には「ウソ」が隠されています。

 医療経済研究機構の「療養病床における医療提供体制に関する調査」( 2004 年 3 月)では、療養型病床に入院する患者の状態について、「医学的管理をさほど必要とせず、容態急変の可能性も低い」のが、医療保険で 29.5 %、介護保険で 28.2 %いる、と報告を行いました。しかし、厚労省は説明会の資料でこのデータを改竄し、「急変の可能性が低く、福祉施設や住宅での対応が可能」が 28.2 %いるので、約 3 割が入院医療不要との結論を導きました。「容態急変の可能性が低い」から「福祉施設や住宅での対応が可能」というのが暴論である事はいうまでもありません。

 2005 年 11 月の中医協では、患者特性調査について、医師の「指示の見直し」頻度について、「医療的な状態は安定しており、医師の指示の見直しはほとんど必要としない」が、医療保険で 48.8 %、介護保険で 50.1 %あった事について、データを改竄し、「医師の対応がほとんど必要ない人が」 5 割いるので、療養病床は大幅削減が可能としました。医師の指示の変更がなくても、医療は継続して行われている訳ですから、「医療の必要性が低い」という根拠にはなりえません。

 日本医師会が 2007 年 4 月に「療養病床の再編に関する問題点について」の中で、高齢者の増加に伴い「一部在宅復帰を実現しても、 2015 年度には 27 万床が必要になる」と推計しています。また、「日本医師会等の調査から、医療療養病床入院患者の 68.8 %、介護療養病床入院患者の 38.7 %は、医療療養病床を必要としている」と指摘しています。

 この秋に各都道府県が医療費適正化計画を作成しますが、その中で地域における療養病床数について目標を明確化します。それぞれの地域で必要な病床数をどう考えるのか、広域連合との話合いの中で明らかにさせていく必要があります。

 

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