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 地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。 2007 年9月 23 日号( 1399 号)に掲載した「医療費適正化計画について」です。

医療費適正化計画について
(第110回 11月9日 )

 今回の改定で、都道府県に対して三つの計画の作成が義務付けられました。

 高齢者の医療の確保に関する法律(老人保健法に代わる法律)による「医療費適正化計画」「特定健診・特定保健指導実施計画」、改正医療法による「医療計画」です。

 医療費適正化計画の中身は、主に「入院日数の短縮」「糖尿病等の患者・予備軍の減少率」です。具体的な方策として、「療養病床数の削減・廃止」「メタボリックシンドロームに特化した健診制度」です。

 一期 5 年の「医療費適正化計画」を策定し、毎年 47 都道府県の実績を公表、医療費の多い自治体に対しては「対策」を求めます。

 これを、厚労省は計画をたて( Plan )、実行し( Do )、点検・評価し( Check )、改善する( Act )、頭文字を取って、PDCAサイクルの実行としていますが、「改善」する中身は国民の健康状態ではなく、医療費の削減ですから、悪魔のサイクルと呼んだ方が適切だと思います。

 入院日数の短縮化として、主として長期入院に対応した「療養病床」の削減が決まっています。 2006 年現在、医療保険対応の療養病床が 25 万床、介護保険対応が 13 万床ありますが、 2012 年には、介護療養病床は廃止し、老人保健施設や有料老人ホーム、ケアハウスなどに誘導、医療療養病床は 15 万床に削減することになっています。

 昨年 7 月から、比較的軽症の患者が入院している病院の収入が大幅に減少する仕組みを作りました。そのため、徐々に療養病床は減少し、 2006 年 3 月末と 2007 年 6 月末の比較で、全国で 17,000 床余、約 5 %のマイナスになっています(香川県では、 290 床、 8 %の減)。

 しかし、これから高齢化が進み、対象患者は確実に増えていくわけですから、このような政策が国民の健康を守る上で大きな矛盾がおきるのは確実で、具体的事例を元に政策転換を要求して行かなければなりません。

 健診制度も大きく変わります。健診の目的が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断とその予備軍の早期発見になります。内臓脂肪が増加すると糖尿病を始めとする動脈硬化性疾患が発症し、脳卒中、心筋梗塞、腎不全など医療費の増加の原因となります。病気の境界状態で留めることができれば、通院患者を減らすことができ、重症化や合併症の発症を抑え、医療費の増加を抑え、入院患者も減らすことができる、というのが狙いです。

 健診は「特定健診」、健診後の指導は「特定保健指導」と呼ばれ、その実施率、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少率、などが健診の目的となります。目標に達することができなければ、保険料率の増加などのペナルティーが科せられます。

 健診の対象は 40 才以上 75 才未満で、 39 才以下と 75 才以上は、保険者の努力目標となります。この点でも改善の要求が必要です。

 

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