日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2007 年12月号のコラム「社会派 しんさつ室」に掲載された文章を転載します。
(第124回 1月11日 )
医療部会の創立 50 周年記念事業の一環として「第 3 回国際保健協同組合フォーラム」を、 10 月 21 日〜 22 日、東京都新宿区で開催しました。WHO(世界保健機関)は、「高齢者にやさしい都市ガイド」の日本での正式発表をこのフォーラムの中で行いました。
2002 年 4 月にWHOが発表した「アクティブ・エイジング―その政策的枠組み」と題する提言文書と合わせ、医療部会は「 WHO 『アクティブ・エイジング』の提唱」(萌文社)として翻訳・編集して出版しました。
アクティブ・エイジングとは、「人々が歳を重ねても生活の質が向上するように、健康、参加、安全の機会を最適化する」ものであるとし、「自分のニーズ、希望、能力に応じて社会に参加する」ことができ、必要に応じて「十分な保護、保障、ケアを受けることができる」としています。
今回発表となった「都市ガイド」は、アクティブ・エイジングを可能とする都市の条件を研究したもので、姫路市・港区(東京都)を含む世界の 33 都市で行われた研究の成果が、本書の内容に反映されています。
住環境については、歩道の歩きやすさはどうか(デコボコで歩きにくい、歩道に駐車しているので車道を歩いている)、横断歩道は安心して渡れるだけの十分な時間か、などがあげられており、高齢者にやさしいまちは、子どもや幼児を連れた親にも住みやすいまちだと言えます。
交通機関は、あちこち移動でき社会参加や保健サービスを受けることができるか、という観点で検討する必要があります。「都市ガイド」は、様々な角度からチェックできる内容になっています。
この考え方は、「地域まるごと健康づくり」「まちなみチェック」「まちなみマップ」など、これまでの医療生協の考え方や運動と重なります。本書を参考にしながら、再度「まちのありかた」を見直してみる必要があります。 |