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 地方政治新聞「民主香川」に「医療制度改革関連法の全体像と問題点」を連載しています。2008年1月27日号(1411号)に掲載した「混合診療の問題点」です。

混合診療の容認には反対です
(第139回 3月4日 )

 2007年11月7日、「混合診療」禁止は違法であるという神奈川県のがん患者の訴えに対し、東京地裁は、混合診療についての国の解釈は誤りであるという判決を言い渡しました。

 健康保険がきく診療と、健康保険に定めのない治療を行う「自由診療」を同時に行うことを「混合診療」と呼びます。日本では、「混合診療」を行うと同日に行った保険診療分も「自由診療」と一体のものと扱われ、全額自己負担となります。

 この判決に対して、従来から混合診療認可を推進して来た「規制改革会議」は、「原則的に全面解禁に向けて(厚労省と)交渉する」と歓迎しましたが、判決では混合診療を禁止していることについては「法的根拠がない」と判断したものの、混合診療の是非については「法的解釈とは次元の異なる問題」としており、無原則的に混合診療を認めてものではありません。

 この患者は、従来の保険診療では自己負担が月6〜7万円だったものが、自由診療を追加したために全額自己負担となり25万円程度に膨らんだといいます。

 もちろん、必要な医療が通常支払い可能な低額で提供されるのならその方が良いと思います。しかし、医療は他の分野と異なり新しい技術が,有用であればそれでよいと言うものではありません。安全性が確認できないうちに適応されるべきではありませんし、安全で有用であることが確認できたなら速やかに保険で使用できるようにして、治療を必要とするすべての患者さんに提供できるようにするべきです。

 規制改革会議委員の松井道夫・松井証券社長は、「朝日」12月19日付で「公立学校に通う子どもが補習塾に通ったら、教育委員会が『それでは公立学校の公的補助分も払え』と命じるようなものだ」「混合診療で困るのは経済的に余裕のない人たちだ。『弱者は保険が認められるまで我慢しろ』というようなもの」だ、と発言しています。

 こういった暴論が新聞紙上に平然と載るのもどうかと思いますが、答えは簡単で、「塾にいかなくてもよいように公的教育を充実させる」「必要な医療は速やかに保険が利用できるようにする」だと思います。

 「お金のある人が新しい高度な診療を受けることができ、貧しい人はこれまで通りの限られた診療しか受けられないようになれば、医療格差が生まれ、国民皆保険制度の崩壊につながりかねない」(11月13日「東奥日報」社説)という意見に賛同するものです。

 映画「シッコ」で描かれたような米国型の医療が日本に持ち込まれないようにするためにも、混合診療に断固反対するものです。


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