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高知医療生協で医療倫理の講演を行いました
(第161回 6月6日 )


高知生協病院は、口細山という小高い丘の上にあります

 6月1日(日)、高知市にある高知生協病院で、高知医療生協・事業所利用委員会全体会で、「医療倫理と「医療生協の患者の権利章典」」の講演を行いました。病院・診療所の6つの事業所利用委員はじめ約50名の方が参加し熱心に聞いていただきました。

 高知生協病院の病院倫理委員会は大変熱心に活動していて、入院患者の死亡症例について全例振返りを行い、倫理的な問題がなかったどうか点検しているそうです。

 医療倫理については、米国医療のリポートにも書いた、患者の権利をめぐる3つの事件「Karen Quinlan 事件」「Nancy Cruzan 事件」「Theresa Marie Schiavo 事件」(飛来峰 第27回, 第28回, 第29回 参照)に触れ、(1)意識がない状況に陥った場合、自分がどのような治療を受けたいかを決めておく、(2)自分で意思決定できなくなった場合、自分に代わり治療やケアに関する決定をする人の名前を決めておく、「事前指示」advance directiveについて強調しました。


丘の上なので涼風がはいってきて
気持ちよく講演ができました

 というのも、この4月の診療報酬改定で新設された「後期高齢者終末期相談支援料」が念頭にあったからです。「終末期と保険医が判断した者について、医師、看護師」等が「共同し、患者及びその家族等とともに、診療内容を含む終末期における療養について」文書や画像に記録した場合、患者が死亡した時に医療機関に2千円支払われるというものです。

 まず医師が「あなたは終末期です」と宣告します。厚労省が「終末期の療養」という場合、入院で死亡すると医療費が高くつくが「在宅死」なら安く済むという誘導ですから、まさに「お婆捨て医療」の典型といえるものです。しかし、これは本来の「患者の権利」を尊重した医療とはいえません。

 「「先生におまかせします」と治療上のすべての決定を医師に委ねるのではなく、患者自身がもっと学習し、自分の権利を知り、自分の身体に関する事は自分で決める努力をすべき」だと、第5回医療生協の患者の権利章典実践交流会(2003年1月)の基調報告で指摘された視点が重要だと思います。


約50人の方に熱心に聞いて頂きました

 高松平和病院の倫理委員会の活動についても報告しました。2003年1月から3ヵ月に1回程度、定例会議を行っていますが、最近になって、医師から治療法や考え方について倫理委員会に提起されることが多くなりました。倫理委員会の活動が認知されるようになった事と、医師の中に倫理的な問題を真正面からとらえる気風が生まれて来たのではないかと感じています、と報告しました。

 倫理的な問題に、「正解」や、ただ一つの答えはありません。日々の医療の中でおきる問題に対し、倫理的な観点で問題をとらえなおすことが何より重要であると思います。

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