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 日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2008年6月号のコラム「社会派 しんさつ室」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。

「外来管理加算」の問題点
(第168回 7月1日 )

 4月に行われた診療報酬改定の影響が明らかになっている頃だと思いますが、外来診療部門では、在宅分野を除けばマイナスではないでしょうか。

 不況の影響による受診抑制だけでなく、後期高齢者医療制度の導入による保険料負担は、高齢者のみならず現役世代でも増えており、この影響も大きいと思います。

 200床未満の病院や診療所の外来部門では、「外来管理加算への時間要件の導入」による減収が大きいと思います。「外来管理加算」とは、ケガの処置やリハビリテーションなどが多い外科・整形外科などの診療と、診察を行うだけの事が多い内科との収入格差を是正するための「内科再診料」が、いつの間にか医学的な管理を行うことを評価するものに代わったものです。

 今回、「丁寧な問診と詳細な診察を行い」「医師が実際に概ね5分を超えて直接診察を行っている場合に」算定することとされました。看護師や栄養士などが説明する時間は考慮されず、「診察室に入室した時点から退室した時点」まで、医師が関与した時間だけを評価するというものです。

 「概ね5分」というところがマスコミで宣伝された影響でしょうか、ある公的病院で患者がストップウォッチをもって診察室に入って来た、という話も聞きました。

 「医療生協の患者の権利章典」を実践する立場からいえば、丁寧な説明や納得いく説明が大事であることはいうまでもありませんが、「患者を中心としたチーム医療」を推進する立場から見れば、医師以外の職種の役割が評価されないおかしな制度だと思います。

 知る権利や自己決定権が重視される医療に変えていくためにも、こういった角度から診療報酬を国民の目線でとらえ直す必要があるのではないでしょうか。

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