日本生協連・医療部会発行の、「虹のネットワーク」 2008 年11月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.27」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。
(第203回 11月25日 )
9月末、銚子市立総合病院(千葉県)が閉院しました。内科・外科など16科を有し、結核・精神神経病床を含む399床を持つ地域の中核病院が消失した訳ですから、衝撃的なニュースとして取り上げられました。一方、9月中旬に、「内科再開に一安心」と題して、阪南市立病院(大阪府)の内科診療が1年ぶりに再開される記事が新聞に掲載されました。公立病院なら内科の診療があるのは当たり前というのが常識だと思いますが、「医療崩壊」はここまできたのかという思いです。
医師・看護師不足と、公立病院の事実上のリストラ策である「公立病院改革ガイドライン」(注)により、全国で公立病院が存亡の危機にさらされています。
公立病院が「内科医が不足し当直体制を維持するのが困難」という理由で、地域の医師会に「当直業務への参加」を呼びかけるという例もあります。看護学校でも、これまで学生の講義に協力していた病院の医師から「医師不足」を理由に講師を断わられ、看護教員が体制維持に奔走するという事態も見られ、医療の確保が地域全体のまったなしの課題となっています。
上期単協代表者会議で下期の重点課題として提起された「300万人対話大運動」は、「かつてない規模で地域に出て医療生協の社会的存在感を示す」ことを目的にしています。地域の人々のさまざまな声を聞く中で地域の課題を明らかにしていく訳ですが、医療の確保という点でその地域の問題点を明らかにし、医療生協の役割を際立たせるという観点も必要なのではないでしょうか。
注:一般会計からの繰り入れを明確にして単年度黒字化させる。病床利用率が低いと診療所化するか民間委譲を迫るなどが主な内容。
※以下の、HPを参照下さい
http://www.city.choshi.chiba.jp/hospital/byouinkyushinoshicyou.html
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080930-OYT8T00330.htm
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070625ik05.htm
http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000809170003
http://www.jcp-net.jp/gorira/data1/080315-201629.html
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