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後期高齢者医療保険証の取り上げを許さない運動を起こしましょう
(第217回 1月30日 )

 再び後期高齢者医療制度を考える、その2です。今回は保険料の滞納問題です。

 1月20日、保団連(全国保険医団体連合会)が全国587自治体(27都府県)の後期高齢者保険料の普通徴収者の滞納者数調査を公表、約17万人の滞納者がいることが明らかになりました。後期高齢者医療制度では、原則として滞納が1年間続くと、医療費窓口負担がいったん10割となる「被保険者資格証明書」(資格証明書)が発行され、事実上の「無保険」状態となります。

 後期高齢者医療制度の保険料徴収は年金からの天引きが原則で、全国の高齢者の反発を呼んでいますが、無年金者や年金受給額が年間18万円以下の人、介護保険料の天引き額と後期高齢者医療保険料が年金受給額の5割を超える場合は、本人が直接納付する「普通徴収」となります。

 香川県後期高齢者医療広域連合の調べによれば、被保険者数は131,720人、普通徴収者数は4人に1人の31,974人でした(昨9月末)。7月〜9月期の滞納者は11月25日現在2,388人で7.5%に相当します。「普通徴収者」とは、「普通」に支払ってくれるので天引きしなくても「徴収」可能、という意味ではありません。無年金者なら天引きできない、年金額が余りに少ないので天引きするのは不可能に近いので天引きできない、という意味です。年金以外に収入があるか、代わりに誰かに支払ってもらえなければ、保険料の支払いは不可能という事です。

 香川県の場合08年と09年は、年間保険料は「均等割47,700円+所得の8.98%」になっています。一定の軽減措置がありますが、均等割額がゼロになることはありません。収入がゼロであっても、年金が月額1.5万円未満であっても徴収する(むしりとる、といった方が当事者の感覚に合っているでしょう)仕組みになっています。

 香川県社保協(香川県社会保障推進協議会)が1月下旬に行った「自治体キャラバン」(社保協加盟団体が自治体と行う懇談)でも、滞納者が数十人程度しかいない自治体で「調査の上で強制徴収も必要」という返答があるなど、この問題は看過できません。

 そもそも、保険料については「払える保険料設定になっているのか」という問題と、「医療を受ける権利」をどう考えるのかという2つの問題があると思います。

 収入ゼロでも保険料が発生するという仕組みは誰が考えてもおかしいと思います。一定の所得があるなら負担すべきというのなら、例えば、生活保護基準(基準額の妥当性はともかくとして)など、合理的な設定方法があるでしょう。

 もう一つ大事なのは、「保険料を払わなければ医療を受ける権利が制限されても当然」という考え方が誤っていることです。香川県の場合、年金額が年間153万円以下なら保険料は年6,900円です。医療機関を受診すると、2,700円の初診料が発生します。深夜に受診すれば、7,500円です。保険料の滞納――→医療費の10割負担、という仕組みがある限り、この程度の保険料が払えない人が医療機関にかかるのは無理です。憲法25条に示された「健康で文化的な生活」は保障されないことになります。

 4月から始まる可能性のある「保険証取り上げ」を許さない運動が求められています。

 全国保険医団体連合会の調査結果の詳細は、以下のHPを参照下さい。

 http://hodanren.doc-net.or.jp/news/tyousa/090120tainou.html

 http://hodanren.doc-net.or.jp/news/tyousa/090120tainou.pdf


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