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アスベスト問題を考える香川県民集会(その2) (第249回 6月12日 )

全国じん肺弁護団の小野寺利孝団長の講演です
全国じん肺弁護団の小野寺利孝団長の講演です

 第248回(6月9日)の続きです。

 「アスベスト問題を考える香川県民集会」の2番目の講演は、全国じん肺弁護団の小野寺利孝団長が行いました。以下、講演の要旨です。

 「全国じん肺弁護団連絡会は1980年から活動を行っているが、私はその数年前から、炭坑夫じん肺の患者さんとの出会いがあった。石綿使用の最大の問題である鉄骨に石綿を吹きつける工事に従事した青年が、40そこそこで死亡する事件を担当した。最初に解決した事件だが、その後じん肺など、働く人の命と健康を守るたたかいを行ってきた」

 「患者の最大の要求は、あやまってほしいということだ。損害賠償の問題もあるが、金もうけのために命と健康を奪った責任は、企業であり経営者であり国にある。「有益な魔法の鉱物」が、産業の発展のために使用を推奨され、企業が儲けのためにどんどん使用した。その責任は国策として推進したした側、日本中に広めていった国の責任は大きい」

 「2005年のクボタショックが、アスベスト問題の根の深さを明らかにした。それを受け止めた政治の側が、アスベスト新法という形で動いたし、その後社会問題・政治問題となった。そこで目覚め励まされたた被害者が全国で立ち上がった。その典型が3つある」

リゾートソリューション・アスベスト被害原告団の和田志津夫団長からの訴え
リゾートソリューション・アスベスト被害原告団の和田志津夫団長からの訴え

 「1つ目は大阪泉南アスベスト訴訟。泉南地域は戦前から紡織産業が盛んで小さな工場が多かったが、工場従事者だけでなく、周辺住民にも深刻なアスベスト被害がある。加害企業は(倒産・廃業して)もうないのだから、国策として推進した国が法的責任をもつ必要がある。そのたたたかいが被害者を救い、国のアスベスト推進政策が問われることになる。2つ目は首都圏建設アスベスト訴訟で、建設労働者全体の問題である。謝罪と賠償だけでなく、現行のアスベスト新法を安心して生活できる救済法にかえていく。国とメーカーが拠出した基金を作らせていく必要がある。3つ目が、香川の日本エタニットパイプ、現在のリゾートソリューションを相手取った訴訟で、9月に判決が予定されている。今回の特徴は、家族・近隣曝露を認めさせることができるかどうかで、困難な問題ではあるが、今後の展開の上で重要だ」

 「一昔前、労働者は、ケガと弁当は手前持ちだった。私の父は常磐炭坑で石炭を掘っていた労働者で、肺結核でクビになったが実は炭坑夫じん肺だった。父の自己責任とおもっていたが、責任は経営していた常磐興産にあるというのが、弁護士になった30数年前にやっとわかった。国も企業も知っていたのだが、無知を利用していた。知っていたし、予防もできたし、なくす事もできたのだ。国民や労働者の命と健康の上に、儲けをおいていた。これが今の国家であり産業界、財界である。自分たちが学び、科学的な知識を得てたたかわなければならない」

 「(エタニットパイプの労働者は)アスベストの舞う中でマスクをすることもなく作業し、アスベストまみれの作業衣をそのまま家に持ち帰り、家族や子どもまでも危険に巻きこんだ。人間の尊厳が傷つけられたのだから、「あやまれ」が基本だ。リゾートソリューションとの交渉で、企業は謝らないし法的責任を認めない。裁判で確立した損害賠償基準の2分の1くらいは出すから大事にしないで手を打とう、といってきた。ゼニかねで人間の命と健康そして尊厳まで買おうとする。この対応は決してリゾートソリューションの問題だけではない、背後の(主要株主である)三井不動産、コナミの問題でもある。この苦しみを孫子に残したくない、この思いを社会に伝え、企業に謝罪させ、必要な賠償をさせる必要がある」

 「司法の正義を求めたい。企業の過ちを厳しく断罪する判決こそが、アスベスト被害をなくすたたかいに大きな励ましを与えるだけでなく、企業のあり方、国のあり方をも変えていく判決になるという事を認識し、勇気を持って判決文を書いてほしい、この集会が裁判官に伝わることを念じている」

 として、講演を締めくくりました(文責:藤原)。


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