(第283回 10月30日 )
10月20日付四国新聞は、「新型インフルエンザワクチンの接種が19日、医療従事者を対象に香川など全国各地で始まった。主に新型インフルエンザ患者の診療にかかわる医師や看護師らで、香川県内では優先配布を受けた35医療機関のうち、準備が整った複数施設で接種を開始」と報道しました。
TVでも接種シーンが放映され、その後の現場の実態が全く報道されないため、医師や看護師は「優先的に注射が終わった」と思っている人も多いようです。
しかし、現場はそうではありません。先の報道でも「同病院では、接種を希望する635人にワクチンが行き渡るかどうかは未定」とあるように、必要人員分が提供された訳ではありません。
香川医療生協には医科事業所が3つありますが、ワクチンが届いたのは27日(火)です。しかも、必要数として届け出た数の内、「医師数+看護師数」の75%分しか来ませんでした。病院や診療所内で順番をつけ、診療現場にでる医師は全員として、看護師の中でも、外来にでることの少ない管理者は今回は除くなど、対応に追われています。
しかし、日本生協連医療部会に寄せられた情報によると、もっと少ない所もあります。
愛知県では、届け出数が10人未満は人数分、10人〜50人は10人分、51人以上は20%(10/21「中日」)だそうです。ある大学病院では必要数2000人分に対し、400しかきていないところもあります。広島県では、医師100%、看護師40%、その他10%で配布されています(広島県健康福祉局長名の文書より)。
医療供給体制を確保するための優先措置という割には、少しお粗末という感が否めません。9月はじめに政権交代があったとはいえ、厚生労働省の対応や県の対応には疑問を抱かずにはいられません。
一方、ワクチンによる予防を行えば完璧という訳ではありません。
ウガイや手洗いの励行、適切な受診行動など、必要な知識を地域に広めて行く活動も重要です。
いまこそ、医療生協ならではの活動が求められています。
※11/3(火)は休日ですので休載。次回は11/6(金)です。
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