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08年から始まった健診制度について
(第309回 2月9日 )

 地方政治新聞「民主香川」に「「医療改革法」は医療をどう変えたか――医療現場からの報告」という連載を始めました。第2回は2010年1月17日号(1481号)で、「新しい「健診」制度を考える」です。一部修正しています。

 後期高齢者医療制度が発足するにあたって、老人保健法が廃止されました。

 それに伴い大きく変化したのが、「健診」制度です。それまで、「市の(町の)健診」と呼ばれていたのは、正確には「老人保健法に基づく健康診査」です。本来「健診」という語句は日本語にはありませんでしたが、「健康診査」を略する形で使われるようになってきたようです。

 自治体により負担額の違いがありましたが、健診内容は、尿検査、肝機能検査、コレステロールなどの脂質、腎機能検査、貧血や糖尿病関連の検査、心電図、眼底検査(これはどこでもできる検査ではないので省略されることが多かった)などでした。

 新しい制度になり、貧血の検査を全員する意義は少ない、心電図も病気を発見する確率が低い、腎臓病の早期発見のためには尿検査を行えばよい、などの理由により検査項目が大幅に削られました。

 検査にかかる費用も少なくなりますから、自治体としても安上がりの健診ですむ訳で、反対運動はおきませんでした。

 内容が貧弱になれば、受ける側も、その程度なら受けても受けなくても一緒、という心理が働きますから、受診率は低下します。2008年度に受けた人の多くが2009年度は受診をためらい、どこの自治体も受診率の低さに悩んでいます。

 香川県の場合、余りに内容が貧弱なので、2009年度は心電図や腎機能検査、貧血検査を追加して行いましたが、住民に十分周知できていなかったため、その効果は不明です。

 問題は、後期高齢者に対する健診です。75才を超えると健診の責任は、都道府県の後期高齢者医療広域連合にあります。香川県の場合は、2009年度は追加項目なしで行われました。結果説明の時に、この程度の内容で「異常なし」と説明するのは、とても苦痛でした。

 2009年12月21日の「しんぶん赤旗」は、全国の広域連合に独自取材を行った結果を報道しています。旧制度(07年度)と新制度(08年度)を比較し、後期高齢者の健診受診率は、東京都を除き、受診率は40%に満たず、20%未満が17から28に増加しています。最大30%近い低下で、9道県が一桁台に落ち込んだそうです。

 後期高齢者の健診は、率直にいって「健診」の名に値しない「粗悪品」です。こんな制度は、一日も早く廃止するべきだと思います。

 参院選を目前にした今こそ、「後期高齢者医療制度を速やかに廃止せよ」の声を大きく広げていく必要があります。


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