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香川医療生活協同組合

香川県母親大会で医療の現状について報告を行いました

(第354回 8月6日 )

 8月1日、高松市内で第55回香川県母親大会が開催されました。第2分科会「国民のいのちを守る 安全・安心の医療体制――子どもの医療、後期高齢者医療制度、地域医療など」の助言者として参加しました。

 助言者としての問題提起を紹介します。

床の間を背に、座って話をするというのもめったにない経験です。
床の間を背に、座って話をするというのも
めったにない経験です。

 はじめに、「医療は今どうなっているか」と題して、医療現場で起きている問題を取り上げました。患者や医療従事者との間の信頼関係が崩れかかっていること、救急医療の危機について実例に基づき報告しました。また、急性期病院では在院日数の短縮化、長期療養の場である療養病床の削減や廃止、なかなか入れない特別養護老人ホームなど、高齢者の行き場がなくなっている実態を述べました。

 2番目の問題は「人」の問題で、医師不足など医療従事者不足問題を取り上げました。医師数は人口10万あたり198でOECD平均は300、13万人が不足している実態、この40年医療の高度化が進んだが、OECDとの差は開くばかりであることなどに触れるとともに、病院医師の不足は、産科、小児科だけではなく内科や外科も不足するなど広範囲にわたっている事を香川県の実態に即して報告しました。

 3番目は「箱」の問題で、病院や病床の減少を取り上げました。病院医師の長時間労働や説明責任の増加、事務量の増大などに端を発する医師退職→科の閉鎖などの悪循環が起きていることを報告しました。同時に、自治体合併や大学病院医局からの派遣医師の引き上げ、公立病院改革ガイドラインによる病床縮小や閉鎖など、自治体病院のおかれた現状も報告しました。

 4番目は「形」で、医療制度を取り上げました。無保険者の増大など「国民皆保険制度」が崩れかかっている現状、後期高齢者医療制度や、高すぎる国民保険料、先進国では最も高い患者負担率の問題を取り上げました。

 5番目は「金」の問題で、医療費のあり方、社会保障財源を取り上げました。日本の医療費はGDP比8.0%。OECD加盟国上位10ヵ国の平均は10.8%で、10兆円増やしてやっと「世間(OECD)並み」になること。社会保障財源について考えると、例えば、不公平税制を是正すると、国税で15兆、地方税で6兆の財源がでてくると述べました。また、国債は800兆余りあるが、54%は国の持つ金融資産、残りの多くは国民の金融資産で、外国の保有率は5%程度でギリシアとはまったく違うこと。税金の取り方と使い方が問題であり、消費税増税はまったく必要ないと述べました。

 今後の展望として、兵庫県立柏原(かいばら)病院を守る会の「3つのスローガン」や、医療生協さいたまの「私たちの命と医師を守る宣言」などを紹介し、医療のあるべき姿は「参加と協同」である。社会保障は、国民の権利であり政治の基本である。制度の後退を許さず、改善するたたかいも重要であると結びました。

 なお、報告を加筆して、地方政治新聞「民主香川」に連載予定です。


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