4月からの診療報酬改定について、後期高齢者医療関連の項目を見ていきます。
まず、廃止になったものです。
「後期高齢者退院時栄養・食事管理指導料」です。退院時に在宅での栄養に関する指導を管理栄養士が行うことを評価するものですが、なぜ、75才以上に限定されるのか意味不明でした。
前回触れた、検査の内容や回数に関わらず医療費を定額制とする「後期高齢者診療料」の対象患者が、入院する時に算定する「後期高齢者外来患者緊急入院診療加算」と、退院する時の「後期高齢者外来継続指導料」は、後期高齢者診療料の廃止と共に、廃止となりました。
後期高齢者に定額制を導入する目的で始めたものですが、余りに評判が悪いため、関連する項目がすべて廃止となりました。
「診療所後期高齢者医療管理料」は、在宅医療を行っている患者が、比較的軽度の異常を示した時に一時的に入院する場合の項目ですが、なぜ75才以上なのかが不明でしたが、これも廃止となりました。
こうみると、むりやり後期高齢者を対象にしていた事が良く分かります。
一方、後期高齢者だけでなく、全年齢に広げたものもあります。
「後期高齢者処置」は後期高齢者だけ点数が低くなる差別医療でしたが、「長期療養患者褥瘡等処置」に名称が変更され、後期高齢者の点数は倍化(それくらい低かった)したものの、後期高齢者以外では引下げになっています。
問題が大きいのが「後期高齢者特定入院基本料」の変更です。重度の意識障がい等をもつ一部の患者を除き、後期高齢者が90日を超えて入院すると報酬が大幅に引下げられる仕組みが、全年齢に広げられました。
よく、「(一般)病院には3ヵ月しか入院できない」と言われますが、実は長期入院患者が多いと病院経営が成り立たなくなるような診療報酬制度があり、病院を存続させるためにやむなく転院や退院をお願いせざるを得なかったのです。
この仕組みが全年代に広げられた訳です。
長期療養が可能な療養型の病床が減り続けており、今後大きな社会的問題になると思います。
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