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香川医療生活協同組合

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の医療・福祉分野への影響を考える

(第397回 1月25日 )

 昨年12月8日付の本欄(第386回)で、医療福祉生協連の高橋会長理事の談話「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を中止し、安全・安心の食料を提供できる農業と雇用の確保を(会長談話)」を紹介しました。

 その中で「TPPは端的にいえば関税自主権の放棄です。関税自主権を放棄してしまえば内外価格差の調整は不可能となり、価格差のあるものはそれが国民のくらしにとってどんなに大切なものであっても市場からの撤退を余儀なくされてしまいます」「労働市場の開放を迫られるなど雇用や環境もルールがなくなり、農業同様に破壊されてしまいます」と指摘しました。

 TPPへの参加は、昨年の11月9日に閣議決定された「包括的経済連携に関する基本方針」の中で示されたもので、その中に「看護師・介護福祉士等の海外からの人の移動に関する課題にどう取り組むかについては、「新成長戦略」に掲げる「雇用・人材戦略」の推進を基本としつつ、国内の人口構造の将来の動向や、国民の雇用への影響、海外からの要請、さらには我が国経済発展及び社会の安定の確保も踏まえながら検討する」と、農業だけでなく、医療・福祉分野にも関わることが示されています。また、生命保険などの保険分野も含まれます。

 日本医師会は、「日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない面もあることが懸念される」「混合診療の全面解禁により公的医療保険の給付範囲が縮小する」と懸念を表明しています。

 医療ツーリズムなど、主として海外の富裕層をターゲットに、自由診療の新たな枠組みが作られようとしています。最初は、外国の方を対象にした制度であっても、いったん制度が広がると「保険を使わない医療」が当たり前になります。自由に医療を選ぶことができる、といえば聞こえはいいのですが、国民と国・自治体、企業がそれぞれ負担して成立する国民皆保険制度の前提が揺らぐことになります。

 さらに、自由診療が普通になれば、今の医療制度自体が土台から揺らぐことになります。看護師・介護士に外国人労働者が自由に参入すれば、他の分野と同じく「安価な労働力」として利用され、今でも低すぎる介護労働者の待遇が低賃金のまま固定され可能性があります。

 TPPへの拙速な参加にはさまざまな問題があり、TPPの各分野への具体的な影響など国民的議論がない中での参加には反対せざるを得ません。


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