(第469回 12月13日 )
高松市は、11月24日に国保料の大幅引き上げを発表しました。標準世帯で20%の引き上げで、収入の11%に相当し払いたくても払えないとの悲鳴が上がっています。
高松市は2012年度から保険料を引き上げる改定案を、国民健康保険運営協議会に諮問しました。財源不足額の3分の1を保険料アップで賄おうとするもので、モデル世帯(夫45歳、妻42歳で専業主婦、子ども2人で年収450万円)では、年間の保険料が現行の41万7600円から50万2700円となり、8万5100円(増加率20.4%)の負担増になる見通しとされます。
高松市の国保財政には、基金や繰越金は既になく、一般会計からの繰入金が23億円余あります。今後3年間に予想される赤字額は年に34億円で、それとの差額約11億円(上記の財源不足の3分の1のことです)を保険料の大幅引き上げで賄おうとするものです。
国民保険制度は、協会けんぽ(旧:政府管掌健康保険)や大手企業などの組合健康保険に比べて脆弱な制度です。国民保険加入者は、他の保険に比べ、20才近く高齢化が進み病気にかかる人が多い、高齢者の加入率が約5倍、収入は他の保険の半分と少ない、保険料の額は他の保険の9割前後で収入に比し負担が重いといった特徴があります。
しかも、協会けんぽや組合健保では、保険料が会社(事業主)と折半ですが、国保は会社からの補助に相当する援助はなく、収入以外に家族の数や財産にも保険料がかかります。そもそも、手厚い保護がなければ、単独では成り立つのが難しい制度なのです。
高松市はこの14年間、介護保険制度の導入に伴う引き上げ以外には、大幅な増額を行っておらず、安易に保険料の増額に走らなかった自治体として評価すべき点もあります。
それだけに、「衝撃的な」引き上げだと言えます。この根源には国保会計への国の負担が、かつては6割近くあったものが、25%に引き下げられた問題があります。
憲法25条を政治の基本におくという、当たり前の主張を大きな声で行っていく必要があります。
※飛来峰の第381回(2010/11/16)、第384回(2010/11/30)を参照してください。
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