はじめに
1991年日本生活協同組合連合会医療部会は、「医療生協の患者の権利章典」を確定しました。この「権利章典」は、医療の場における患者の権利や医療従事者の責任があいまいな時代に、いち早く「患者の権利」を尊重する立場を鮮明にした画期的なものでした。また、この「権利章典」は、全国の医療福祉生協の活動の指針として事業と活動の質を高める役割を果たしました。
一方、この20年間、人口の高齢化や社会的孤立、経済格差の広がりなど社会環境は大きく変化しました。また、医療福祉生協の活動と事業も大きく広がりました。組合員は全国で100万人以上増え、まちづくりや健康づくりの活動も発展しました。介護事業が大きく発展し、2005年には「医療生協の介護」が策定されました。
そして今、社会保障制度の後退や東日本大震災の経験から、医療福祉生協が「いのち」の分野でさらなる役割を発揮することが求められています。
私たちは、いのち・くらし・健康を守る活動と運動を大きく広げるために「権利章典」「医療生協の介護」を発展させ「医療福祉生協のいのちの章典」を制定します。
この、「医療福祉生協のいのちの章典」は、事業を通じて、人権が尊重される社会と社会保障の充実をめざす私たちの行動規範となるものです。
医療福祉生協とは
医療福祉生協は、地域の人々が、それぞれの健康と生活にかかわる問題を持ちより、組織をつくり、医療機関・介護事業所などを所有・運営し、共に組合員として生協を担う住民と職員の協同によって、問題を解決するための事業と運動を行う、消費生活協同組合法にもとづくひとびとの自治的組織です
医療福祉生協が大切にする価値と健康観
私たちは近代市民社会の大原則であり、日本国憲法の基本理念である主権在民の立場にたちます。私たちは憲法13条の幸福追求権や25条の生存権、9条の平和主義を実現するため、主権在民の健康分野の具体化である健康の自己主権を確立します。
医療福祉生協が大切にする健康観は「昨日よりも今日が、さらに明日がより一層意欲的に生きられる。そうしたことを可能にするため、自分を変え、社会に働きかける。みんなが協力しあって楽しく明るく積極的に生きる」というものです。
私たちは、この価値と健康観にもとづき、医療・介護・健康づくりの事業と運動をすすめ、地域まるごと健康づくりをめざします。
「いのちを守り健康をはぐくむための権利と責任」
ともに組合員として生協を担う私たち地域住民と職員は、いのち・くらし・健康を守るために以下の権利と責任があります。
- 自己決定権
私たちは、知る権利、学習権を背景にして、さまざまな情報を自らのものとし、自己決定を行います。
- 自己情報コントロール権
私たちは、個人情報が保護されると同時に、本人の同意のもとに適切に利用されるようにします。
- 安全な医療・介護を受ける権利
私たちは、安全を最優先にし、そのための配慮やしくみづくりを行います。
- アクセス権
私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います。
- 参加と協同
私たちは、主体的にいのちを守り健康をはぐくむ活動に参加し、協同を強めてこれらの権利をまもり発展させます。
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