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香川医療生活協同組合

TPPと医療(2)――TPP参加で薬の値段が際限なく上昇します

(第567回 4月9日 )

 第561回(3月8日)、562回(3月12日)、566回(4月5日)に薬価の問題について述べました。今回はその続きです。

 今年の2月に薬価収載された薬剤の中にパーキンソン病に用いられる、ロチゴチンという貼り薬があります。薬の成分量の違いにより4種類あります。2.25mgが270.30円、4.5mgが416.50円、9mgが641.80円、13.5mgが826.50円です。1日の用量は9mgから36mgで設定されています。13.5mgが2枚と9mg1枚で36mgになりますから(9mgを4枚でも構いませんが)、1日の薬価は640円から2300円ということになります。1ヵ月(30日分)で6万9千円で、3割負担なら2万円を超える負担になります。

 この薬剤の薬価を決める時に参考にした外国薬価は、9mgの場合、米国1185.00円、独国1081.20円、英国525.00円、仏国356.00円、平均価格が848.30円で、最終的に641.80円に決まったという経緯があります。

 ここにクレームをつけているのが米国で、海外との薬価差を「大幅に縮小する……制度を廃止」しろというのが要求です。日本がTPPに参加したら、この薬価は1.5倍以上になります。

 薬の値段は国により違います。日本の薬価が高いのかどうか、高いならなぜ高いのか、その理由が明確になっていなければならないと思います。

 全国保険医団体連合会(保団連)が3月28日に、薬価の国際比較を元に日本の薬価制度等について、厚労省保険局医療課と懇談しました。

 http://hodanren.doc-net.or.jp/news/unndou-news/130403yakka.html

 保団連調査によれば、患者の薬剤購入価格について、英国を100とした場合、仏国114、独国168、日本222、米国289です。厚労省の調査では薬価でみると仏国125、日本197、独国219、米国352です。厚労省調査では日本の薬局技術料が考慮されていないため低く出るという問題がありますが、同じ薬が英国の2倍になっていることは間違いないと思います。

 この間、医療費の高騰を防ぐために2年に1度薬価の引き下げを行ってきましたが、医療費に占める薬剤比率は2006年28.6%、2008年29.0%、2010年33.0%でむしろ増加しています。この背景には、新薬が高い、高い薬の薬価は引き下げられない(新薬創出加算など、高い薬価を維持する制度に変更したため)ということがあります。後発品が存在しない「新薬」は薬剤全体の13.2%に過ぎませんが、金額でいうと47.8%と約半分を占めています。

 新薬が米国並みの価格になり、その価格は殆ど変らないという制度になったなら、日本の医療保険制度はどうなるでしょうか?保険料が際限なく上昇する、「費用を……公平に分かち合う」(社会保障改革推進法案)ために消費税率が際限なく上昇することになれば、「皆保険制度」の名前だけが残っても、実態として機能せず、事実上消滅することになります。

 日本のTPP参加には絶対に反対です。


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