(第571回 4月23日 )
4月12日、日米両国政府はTPP(環太平洋経済連携協定)に関する事前協議の合意文書を発表しました。
日本側は、内閣官房TPP政府対策本部の「日米協議の合意の概要」(注1)として公表され、米国側は、USTR(アメリカ合衆国通商代表部)の「TOWARD THE TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP: U.S. CONSULTATIONS WITH JAPAN」(注2)として公表されています。
いま問題になっているのは、両国政府の公表した「合意」文書の中身が異なることです。内田聖子(うちだ・しょうこ)アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長のブログ(注3)から部分的に引用します
日本政府の合意公開資料は、USTRがリリースしたプレスを都合よくつまみ食いしたものなのだ。しかも、ねつ造ともいえる内容が含まれている。
USTR側が出した文書は、明らかに米国から日本への「要求」という基調で書かれており、日本がそれにどこまで応じたか、ということに文書の主旨は尽きる。もちろん各政府は自らのプレゼンスを最大に行なうため若干のトーンの違いはあるだろうが、今回の2つの文書は、そのような「微妙な立場の違い」という説明ではすまされないほど強者と弱者の違いは明瞭だ。対等平等な合意文書というには程遠い、いわば「日本が宿題を米国に出し、それを添削してもらった」ようなものだ。
日米での事前協議の内容について、日本政府の発表した「概要」は、明らかに、意図的に国民からの批判を避け都合よく項目が取捨選択されている。
USTR文書では、具体的な項目として「自動車」「保険」が立てられているのだが、日本政府の概要では、「自動車」の項目はあるが「保険」はない。USTR文書では約9行にもわたり記述されているにもかかわらず、その項目は削除され、保険については「その他の非関税障壁」という中の一つとしてふれられているだけである。
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詳細は内田さんのブログを見てもらうことにして、日本側の文書では「知的財産権」が意図的に(?)抜け落ちています。医療の面でいうと、新薬の特許、医療器械、新しい治療法や検査、手術法など、米国で特許を取っていれば「知的財産」の扱いとなり、日本で利用できるかどうかは米国次第ということになります。こういった重要な問題を国民に隠してTPP参加に進む態度は許せません。
日本のTPP参加には絶対に反対です。
※以下のHPを参照ください。
注1:http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/130412_gouibunsyo.pdf
注2:http://www.ustr.gov/sites/default/files/04132013%20Japan%2
0OVERVIEW%20factsheet%20FINAL_1.pdf
注3:http://uchidashoko.blogspot.jp/
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