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香川医療生活協同組合

高齢者医療のありかたを考える

(第578回 5月31日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2013年4月21日号(1596号)に掲載した、第11回 医療保険制度はどうなるか(3)――社会保障制度改革推進法案を読み解く(その6)、を転載します。一部修正しています。

 社会保障制度改革推進法案の第6条第三項は「医療の在り方については、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備すること」とされています。

 「人生の最終段階」の医療については、自分のことは自分で決めるという「自己決定権」を尊重することが大事です。「患者の意思がより尊重されるよう」な医療に変えていくことが重要だと思います。

 しかし、2013年1月21日に開催された第3回社会保障制度改革国民会議で、麻生太郎副総理は政府側の発言として、「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」(「産經新聞」)と述べ、大きな批判を浴びました。後に撤回しましたが、結局「お金の問題」としか捉えていないことがよくわかります。

 高齢者医療のあり方については国民的な議論が必要ですが、「人権」の問題としてとらえる観点の重要性を強調したいと思います。

 第四項は「今後の高齢者医療制度については、状況等を踏まえ、必要に応じて」「社会保障制度改革国民会議において検討」することになっています。

 2008年の「医療制度改革」で後期高齢者医療制度が導入されたときに、70才から74才までの高齢者は2割負担となり、2009年4月から実施される予定でしたが、後期高齢者医療制度への反発があまりに強いため、福田内閣時代に実施が凍結され、現在に至っています。

 安倍内閣は2013年の4月から本則通り2割負担にすることを決定しましたが、参院前という事情も考慮したのでしょうか、2014年3月までは1割負担に据え置かれることになっています。この問題も国民世論により変更が可能ですから、引き上げ反対の運動が引き続き重要となります。

 厚労省は入院ベッドを削減するために躍起になっています。現状からの推計では2025年に医療機関が202万床、介護施設が213万床ですが、それぞれ43万床、21万床を削減し、医療159万床、介護192万床に減らすことを目標にしています。

 そのため、病院の看護師数や入院日数の基準を2年に1回変更し、基準に合わない病院が病床を閉鎖せざるをえない仕組みを作っています。有床診療所でも2012年4月から突然、管理栄養士の配置が義務付けられました。当面猶予措置がありますが、次回改定でさらに厳しくなると、有床診療所がますます減っていくことが懸念されています。

 在宅重視の方針は変わりませんが、常勤医3名以上の診療所では高い評価が行われていますが、在宅医療を担う診療所の7割を占める1人医師体制の評価は据え置きになっています。ここに光を当てていかなければ、安心して自宅で療養できる環境にはなりません。


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