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香川医療生活協同組合

「社会保障制度改革国民会議報告書」の問題点4 医療保険はどうなるか(1)

(第624回 1月17日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2013年12月15日号(1620号)に掲載した、第19回 「社会保障制度改革国民会議報告書を読み解く(その4)」、を転載します。一部修正しています。

 「社会保障制度改革国民会議報告書」の第2部に書かれた、医療分野の改革についての記載から始めます。「報告書」の内容を批判する目的で連載をしていますが、「報告書」の内容全てが間違っている、という訳ではありません。認識を共有できる部分も多々あります。

 「急速な高齢化の進展は、医療内容に変化をもたらした。平均寿命60 歳代の社会で、青壮年期の患者を対象とした医療は、救命・延命、治癒、社会復帰を前提とした『病院完結型』の医療であった。しかし、(現在では)慢性疾患による受療が多い、複数の疾病を抱えるなどの特徴を持つ老齢期の患者が中心。病気と共存しながらQOLの維持・向上を目指す医療となる。患者の住み慣れた地域や自宅での生活のための医療、地域全体で治し、支える『地域完結型』の医療と介護、住まいや自立した生活の支援までもが切れ目なくつながる医療に変わらざるを得ない。」(引用時に、一部省略・改変。以下同じ)と述べています。

 この認識は正しいと思います。従来の「治療偏重」から、患者・利用者の自己決定を大事にしながら、医療・介護従事者とともに、安心して住みつづけられる社会をめざす活動の一環として、医療・介護があるべきだと思います。とりわけ、終末期医療のあり方については、患者・利用者・家族の気持ちを大事にしながら、協同して医療・介護を行うことを忘れてはいけません。

 「急性期・回復期・慢性期といった病床の機能分担は不明確、医療現場の人員配置は手薄で、病床当たりの医師・看護職員数が国際標準よりも少なく過剰労働が常態化、この現実が、医療事故のリスクを高め、一人一人の患者への十分な対応を阻んでいる」というのも正しい認識です。

 しかし、そうなら医師・看護師を始めとする医療・介護従事者をどう増やすか、ということに政策の重点化が必要なのだと思います。

 「医療の機能分化を進め急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入、回復期等の医療や介護サービスの充実によって総体としての入院期間をできるだけ短くして早期の家庭復帰・社会復帰を実現し、同時に在宅医療・在宅介護を大幅に充実させ、地域での包括的なケアシステムを構築して、医療から介護までの提供体制間のネットワークを構築する」というのもそうだと思います。

 ただ、「急性期に資源を集中」するのは当然として、「回復期」などの現場にも人的資源が必要だし、「在宅医療や在宅介護」にも人的資源を投入する必要があるのです。医療にしても介護にしても、人的資源の集約化は難しいのです。医師が同時に何人も診察することはできません。看護師が同時に何人もの注射や採血ができる訳ではありません。セラピスト(リハビリテーション)、訪問看護や訪問介護にしても同じです。

 他の産業分野では、機械化、先進技術の導入などにより、労働力の「集約化」が可能であっても、医療・介護では常に1対1のサービスですから、こちらの方にも人的資源は集中投入する必要があるのです。


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