(第646回 5月13日 )
共同通信は5月9日、「初診料、全額自費も検討 紹介状なく大病院受診」と題する記事を配信しました(一部略)。
記事によると、「大病院を紹介状なしで受診する外来患者に対し、初診料や、再診料を全額自費負担とする案を、厚生労働省が検討していることが分かった。田村憲久厚労相が記者会見で「いろいろな案の中の一つだ」と述べた。負担増で軽症患者の受診を抑制し、本来の高度な治療に注力できるようにするのが狙い」としています。
確かに、軽症疾患で簡単に大病院にかかる患者が多いのは事実です。しかし、負担増で「抑制」できるのかというと疑問は残ります。
そもそも患者の側に「軽症疾患」かどうかを判断することは困難です。「結果として」軽症であった、ということの方が多いのではないでしょうか。
また、大病院の外来患者数が多いのは、大病院の医師の側も「患者を離したがらない」という面もあるのです。診察を受けるのは年に1回ということも聞いたことがあります。3か月おきに薬をもらっているが、検査は受けたことがないという話もあります。
「在宅医療をお願いします」といって、紹介状をみると、最終投薬が3か月分処方というのもよくあります。
今回の提案の「大病院」の定義は400床以上の病院のようですが、地域によっては「総合的に患者を診ることのできる病院」(総合病院だからといって、「総合的に」診ることができるとは限らないという意味です)が、400床を超える病院しかないという地域もあるのです。
地方に行けばいくほど、「大病院」しか十分な設備が整っていない、「総合的に診ることのできる病院」がないというところもあります。
患者の全体像をとらえて、生活から労働までまるごとみることのできる医師養成、医療機関間の連携がきちんとでき、紹介した患者が速やかに受診できることのできる仕組みづくりなどが必要です。
医師の側は「それは専門外ですから」と言い、患者は「専門家でなければ嫌だ」と言っているようでは、初診料の自己負担だけでは解決しないのではないかと思います。
この問題は「自己負担」の問題だけではなく、医療のあり方が問われている問題だと思います。
※共同通信記事の全文は、下記のHPを参照ください。
http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014050901000835.html
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