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香川医療生活協同組合

県立中病院の朝日町への移転は中止し、立地から再検討すべきです

(第441回 7月29日 )

 地方政治新聞「民主香川」に連載している、「「医療改革法」は医療をどう変えたか――医療現場からの報告」(第20回)です。2011年7月17日号(1533号)に掲載した「東日本大震災と医療(3)」を編集しました。

 6月定例香川県議会は7月8日に各常任委員会を開き、付託案件の取扱いを決定しました。文教厚生委員会は、閉会中の継続調査案件として、新県立中央病院の問題を追加することにしました。

 新らしい県立中央病院の建設問題では、予定地の高松市朝日町が沿岸部に近く津波や台風などの水害による被害が心配されること、昔の塩田を埋め立てた土地で地震時の液状化による被害などが懸念されてきました。また、周辺環境も病院にはふさわしくないという意見もあります。

 2008年2月議会で移転先を議決した際には、日本共産党議員団だけが反対、自民・公明・民主・社民などの賛成で現地に決定されたという経緯があります。

 時事通信社と四国新聞社が2010年2・3月に実施した「合同世論調査2010香川」で、建設場所が朝日町であることが「適切でない」と答えたのは26.1%でしたが、2011年の同調査では、58.4%に倍増し、県民の約6割が、県立中央病院が朝日町に移転するのは「適切でない」と考えていることが、明らかになりました。

 また、契約違約金支払いや建設期間が長くなりコスト増となっても「より安全な別の場所に建設」を望む意見が54.4%と半数を超え、「朝日町での建設継続」の35.2%を上回っています(6月19日付「四国」)。

 県は2013年度中の開院を目指し今年3月上旬に着工しましたが、大震災を受け防災対策などを再検証するため、工事を一時中断しています。

 新病院の建設問題では、今回の大規模地震に果たして建物自身が耐えられるのか、という問題があります。県の想定では、南海地震の発生時、朝日町の推定震度は「六弱」で、「震度六強」の揺れにも耐えられるとしています、しかし、南海・東南海地震とあわせて東海地震が同時に起こることや、日向灘も合わせた四連動地震が起こることも想定されており、新病院の建物の耐震性が本当に大丈夫かという疑念があります。

 また、新病院の「ウリ」の一つである、ヘリポートは新病院の最上階の上にある機械・電気室上に設置される予定ですが、巨大地震後にも着陸可能なのかという問題もあります。

 また、激しい揺れによりスプリンクラーが破損すると病院が水浸しになり機能しなくなりますが、その点での対応はどうなのでしょうか。

 非常電源を含む電源対策は、激しい揺れや2m級の津波に耐える内容なのでしょうか。県の「想定する」最大津波高は0.86mで、7年前の台風時の水害より低い設定になっています。非常電源に対応する燃料の対策はどうか、非常電源作動時の騒音や振動は療養環境に耐えうるものかという問題もあります。

 7年前の水害時に新病院地域は水につかり通行不能となりました。また、津波による被害だけでなく、地盤沈下による浸水被害がおきれば、救急車が通れない事態も想定されます。道路をいくら整備しても事情は同じです。

 液状化対策は、周辺道路・地域も必要です。病院は無傷だが、患者は誰もこないという事態もありうるのです。

 新病院起工式の式辞で、浜田恵造知事は「最適、最善、最新の医療を提供し、県民の医療の要として信頼されるよう努めたい」と述べましたが、それなら、速やかに計画を凍結し立地問題から再度検討すべきです。


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