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「もう十分がんばったね」 高松平和病院緩和ケア病棟

皆さんは、ホスピス緩和ケア病棟はどのような場所とお考えでしょうか?
誤解されがちではありますが、決して皆さんが想像されているような静まりかえった場所ではありません。

患者さんやご家族の笑い声や笑顔もあります。
外泊や外出をしたり、自宅や施設に退院される患者さんもいらっしゃいます。

緩和ケア病棟はがんに伴う痛みや苦痛を和らげ、日常の困っている事をお手伝いすることで自分らしく穏やかに過ごしていくためにある病棟です。

今回私が最期に過ごした心に残ったエピソードをご紹介したいと思います。

Aさん、男性の患者様です。
両親が盆栽業をしており、若くして跡取りとして力を入れて働いていたそうです。
また、四男が誕生したときにはとても嬉しく、トラックの後ろに乗せて仕事をしたこともあると話されました。
最期には穏やかに過ごしたいと言う希望があり、ご家族も本人の思いを尊重され、最期には奥様が付き添われ家族の時間を過ごされました。

看護師は「奥さんが来てくれていますよ。がんばりましょうね。」と声をかけました。
その後、奥様は「もう十分がんばったね。潔く逝きまい」と笑顔であっさりと頭を撫でながら声をかけました。
正直私は戸惑いましたがこういう最期もあるのだと、なぜがあたたかい気持ちになりました。
長年連れ添い過ごされてきたからこそまだ逝って欲しくないという思いの中でも、苦しまず楽に逝って欲しいとこの言葉をかけたのだろうなあと思い私の方が心穏やかになる瞬間でした。

ホスピス緩和ケア病棟でいろいろな患者様と過ごして行く中で悲しく辛い場面ももちろんあります。
しかしこのホスピス緩和ケア病棟で患者様と過ごせることに感謝し、患者さんに寄り添いたいと思います。

今後もこのホスピス緩和ケア病棟を選んでよかったと思ってもらえるような看護を提供してまいります。