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「ホスピス緩和ケア病棟での面会の意義」 高松平和病院

新型コロナウイルス感染症も5類指定となり、現在緩和ケア病棟における面会制限は感染対策をしたうえでほぼ解除となっています。

コロナ禍では感染対策によりほとんどの入院施設をもつ近隣の病院や施設では面会禁止でした。
その中でも緩和ケア病棟では面会禁止ではなく、一定の条件のもと面会を許可させていただいていましたが、ご家族は短時間の面会で入院中の過ごし方など心配がつきなかったと思います。
面会制限が拡充されたことでご家族だけでなく友人、知人や会いたい人、会わせたい人らと一緒に過ごしていただけるようになりました。

ある患者様は妻に先立たれ主に面会に来られるのは義弟さんだけでしたが、ある日老齢の男性2人が面会に来られたことがありました。
面会中は部屋から談笑する声が聞こえてくるほど楽しげな様子が覗えました。
面会時間が終わり帰院する男性らに声をかけると「友人です。高校の後輩です」と話されました。
患者様のもとへ訪室し声かけすると、入院してからは見たこともないような笑顔で「後輩が来てくれたんや。大人になってからもずっと付き合いがあってな。野球しとってな。けど疲れたわ」と嬉しそうに話しをしてくれました。

緩和ケア病棟の患者様は、疼痛などの身体症状をはじめとした様々な苦痛を緩和しながら日々を過ごされています。
生命を脅かす疾患による問題に直面している患者様やそのご家族と一緒に過ごせる時間はとても貴重で、苦しみの予防や和らげる手段でありQOLの向上に繫がります。

まだまだ十分な時間面会することはできませんが、ご家族だけでなく患者様に関わる多くの方々が面会できるようになり喜ばれる声を聞かせていただいております。

患者様やご家族に感染対策についてご理解していただきながら、私たち医療者は安心して面会していただけるように新型コロナウイルス感染症だけではなくその他の感染症等でも院内感染をおこさないよう今後も感染対策を徹底していきたいと思います。