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「いのちを削ってトイレをしていた」 高松平和病院 緩和ケアブログ

私は以前このブログで、「最期までトイレに行きたい」というブログを書きました。

緩和ケア病棟のトイレはそれぞれの病室にあるため、「トイレに座ってしたい」という思いにできるだけ沿えるようにベッドをトイレに近づけたり、車椅子で行けるようにトイレの壁が開くようになっています。

今回は、最期までトイレに行きたいという思いと反対のことを書きたいと思います。

その患者様はある病院から転院してきました。
その病院からの情報では、排泄回数は多かったのですがポータブルトイレを使用していました。
入院時に「ポータブルトイレでしていたけど、それがしんどくてしんどくて、命を削ってトイレをしていた」と話されました。
病室内のトイレ、ポータブルトイレ、オムツでの排泄方法があり、「しんどくないほうがいい」という希望があったためオムツでの排泄を提案しました。
すると「そう言ってくれて安心しました。ここに来て、自分で色々しなくていいという目標が叶えられてうれしい」と話されました。

「命を削ってトイレをしていた」という言葉は、とても衝撃を受けました。
入院してすぐに「ポータブルトイレがしんどい」と話してくれたことで、その人に合ったケアを提案でき、「自分で色々しなくていい」という安心した入院生活を提供できたのだと思います。

これからも患者様やご家族の方の希望や思い、迷い、怒り、悲しみ、不安に耳を傾け、その人らしく過ごせるように援助していきたいと思っています。