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「ボランティアさんの温かい想い」 高松平和病院 緩和ケア日記

緩和ケア病棟では、様々な専門職がチームを組み、患者様の生活を支えています。
その中でボランティアさんは私たち看護師とはまた違った形で、患者様やご家族に寄り添ってくださる大切な存在です。

今回は、長年にわたり当院の緩和ケアボランティアとして活動してくださっているAさんが、活動について綴ってくださいました。ボランティアさんの温かい想いをぜひお読みください。

「ボランティアを始めて9年が経ちました。
世の中の状況が変わる中で、活動にも様々な変化があり、その時々に合わせて工夫を重ねてきました。
ただ一つだけ変わらないのは、活動の理念である「さまざまな専門職とボランティアがチームとして提供するケア」です。
その中でボランティアは「日常や地域の風を届ける」という役割を担っています。

私にとっての「日常」とは、コーヒーや紅茶、お菓子の香りです。
ラウンジに漂うコーヒーの香りをきっかけに、最初は「いらない」とおっしゃっていた患者様が「少しだけなら」と口にしてくださることもあります。
ご家族からは「久し振りに、ちゃんとしたカップでコーヒーを飲みながら一緒に過ごせました。ありがとう」と感謝の言葉をいただくこともあり、私自身も心温まる瞬間です。

ときには「甘いカフェオレは無理かしら?」とリクエストをいただき、できる範囲でお応えすることもあります。
ささやかではありますが、季節の花をお盆にそっと添えたり、暑い時期には水羊羹をお出ししたりと、小さな工夫で季節を感じていただくことも大切にしています。
言葉を越えたコミュニケーションを大切に、これからも心を込めて活動してまいります。」