肺炎の増悪で呼吸器を装着されているA様。
呼吸不全は改善が乏しく、主治医より終末期として家族に予後説明されていました。
ある日、B看護師が「○○さん、空が見たいって言われてます。病室内のベッド配置を変えたいんですけど手伝ってもらえませんか?」とチームに声掛けがありました。
「よし!やろう!」窓の見える配置にベッドを変更。患者さんは「ビルしか見えんわ。」と言いながらも窓の方をそっと見ておられました。
そんな折、ご主人が千羽鶴を持ってきてくれました。
するとC看護師が「これすごく素敵な千羽鶴でしょ。せっかくならAさんの見えるところにつりましょう!」とA様が見やすい場所につり下げてくれました。
その千羽鶴には数個の鈴があしらわれており、揺らすととてもいい音がしました。
それを見たD看護師が患者さんの病室にやってきて言いました。
「“シャンシャンシャン”○○さん、いい音がしますね。鈴の音は魔除けになるっていうから私通るたびにこれを鳴らしますね。」と声をかけました。
いよいよ看取りの時、主治医から夫へ会わせたい人に連絡をするよう説明がなされました。
夜勤だったE看護師はご家族がベッドサイドにつき添った時に手を握れるようベッド柵を外して、「Aさんは返答できなくても手を握られた感触や声は聞こえていますよ」と説明しました。
がそれその後、A様は息を引きとられました。
緩和ケア病棟での経験があるE看護師が、夫とご家族にエンゼルケアへの参加の声をかけ、一緒に清拭とお化粧を行いました。
最後にご主人から「おかあちゃんのあんな姿みるのは本当に辛い。でも、先生にも看護師さんにもほんとに良くしてもらって。よく頑張った。ありがとうございます。本当にありがとう。」というお話がありました。
長期間のマスク装着による圧迫でできた皮下出血にコンシーラーを塗り、ご家族も「綺麗になりました。楽そうな顔をしてる。」と安心して一緒に退院されました。
患者様に向き合い、患者様の立場にたつからこそ、いたわり支えたい気持ちがそれぞれの看護師に現れていました。
日々患者様に寄り添い、思いやりの行動や声かけ、それぞれの愛のある関わり、すばらしいチームメンバーと一緒に仕事ができていることを誇りに思います。
高松平和病院を選んで入院してこられた患者様に、癒しと安心を提供できるチームとして、これからも看護の質を高めていきたいなと改めて思いました。