●みんなの健康2002年3月号

高松平和病院
内科 何森 晶
 消化器の癌の治療では、医学が進んだ現在でも、手術による治療が最も確実な方法であることには変わりは有りません。しかし、手術以外の治療方法も様々なものが出てきており、高松平和病院でも積極的に取り組まれています。
 例えば胃癌では、早い段階で発見することができれば胃カメラで癌を切り取ることが出来ます。平和病院では『ERHSE(みんなの健康01年9月号参照)』という方法を導入しており、他のカメラによる方法に比べて再発率が低い治療法です。
 食道癌や大腸癌でも同じように早い段階での発見で、内視鏡(カメラ)による治療を行うことが出来ます。ただし、あくまでも早い段階での発見と治療が前提で、そのためにも便潜血検査や定期的な内視鏡検査が望まれます。
 また、肝臓癌でも、腫瘍の数や位置などによってさまざまな手術以外の治療が取り組まれています。まず、エコー(超音波)で腫瘍の位置を確認しながらアルコールなどを注入する方法(『PEIT』)があります。その他、肝臓の腫瘍を栄養する血管までカテーテル(極めて細くて柔らかいチューブ)をすすめ、薬剤などを注入したり、血管を潰したりする(『TAE』)といった方法も積極的に行っています。こうした治療を何回も行わなければならない場合などは、先ほどのチューブの留置する簡単な手術を受けていただくことで、入院では無く通院しながら化学療法をつづけることも行っています。
 これらの治療方法は、必ずしも外来手術にとってかわるものではなく、患者様の病状や年令などの背景や条件を総合的に判断し、選択されます。高松平和病院では、内科と外科の消化器を担当する医師が相互に連係しながら治療方法を検討し、よりよい治療方針を患者様とともに選択することができるように努力しています。


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