訪問看護ステーションみき 山下光代
地域包括ケアシステムとは、病気になったり、体が衰えたりしても、住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう医療と介護が連携するサポート体制のことです。
今回、高齢で一人暮らしのAさんの「最期まで自宅で過ごしたい」という強い希望に、訪問診療、ケアマネジャー、訪問介護、訪問リハビリの多職種で連携し、自宅で看取りをした症例を紹介します。
Aさん 80歳代 女性 慢性呼吸器疾患で在宅酸素6L/分吸入し、歩行、食事摂取、トイレは自立していました。Aさんは、食べ物の好みや暮らし方にこだわりがある方でした。ご自宅は整理整頓し、歩く時に酸素チューブが引っかからないよう物の配置を工夫されていました。長い間、ヘルパーさんが日常生活を支えてきましたが、シャワー浴時に呼吸が苦しくなってきたため訪問看護導入となりました。
訪問看護を開始し、9か月経過した頃より、シャワー後の呼吸困難が強くなり、徐々にベッド上生活になりました。入院について検討し、ご本人に確認しましたが「家でいたい」という気持ちは変わらず、ケアマネジャーが中心となり、サービスの見直しが行われました。一人暮らしのため、緊急ベルを押したときの対応について話し合いを行い、警備保障会社を通して、訪問看護につながるよう連絡体制をとりました。また、食事を摂取できない時に点滴を行い、状態が悪化した時に緊急訪問するなど診療所と連携し、医療面でのサポートをしました。飲み込みが悪くなり、食事が食べられなくなってきたため、ヘルパーさんは、好みや食事形態を考えて、ミキサー食や手作りのミックスジュースを介助してくれました。また、清潔ケアや排泄介助などの日常生活援助をしてくれました。多職種がそれぞれの役割を果たしながら協力し、最期を自宅で迎えることができました。
今後も利用者様の思いに寄り添う看護を目指して、多職種で連携して関わっていきたいと思います。