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循環器科 松元 一郎 |
少し歩くと足が痛む
閉塞性動脈硬化症(ASO)という病気をご存知でしょうか。簡単に説明すると動脈硬化により動脈が細くなり、手や足に十分な血液が流れなくなる病気です。この病気の症状は軽いうちは“手足の冷え”程度の症状ですが、ひどくなると“歩くと足が痛くなり、続けて歩けない”、“じっとしていても足が痛い”等の症状となり、さらに悪くなると足が壊死をおこし、切断しなければならない状況となります。近年、食生活の欧米化や運動不足で閉塞性動脈硬化症の患者が激増し、患者は100万人以上いるといわれています。
この病気の治療法としては薬剤や手術などがありますが、最近では“LDLアフェレーシス療法”が脚光を浴びています。
悪玉コレステロールを除去
LDLはご存知のとおり、いわゆる“悪玉コレステロール”のことで、“アフェレーシス”は“除去する”という意味です。つまり血管を細くしてしまう悪玉コレステロールを血漿浄化装置で除去し、血液の流れを良くする治療法です。完全に血管が詰まってしまった患者様にも有効で、また狭心症や心筋梗塞にも効果が期待されています。
治療方法も比較的簡単で、静脈から血液を脱血、血液を浄化し別の静脈に返血(主に上肢の静脈)するのみです。この治療1回で60〜80%の悪玉コレステロールを除去することが可能です。1回2、3時間で10回程度(週1回)行えば有効性が高いといわれています。この治療法は健康保険も適用であり、対象はコレステロール値が高めの比較的症状の強い閉塞性動脈硬化症の患者様です。当院でも昨年からこの治療を開始し良好な結果を得ることができております。
心配な方、ご相談を
できるだけ早期に治療を開始することが最も効果的ですので、前回特集した脈波ポリグラフ計などを用いて早期に病気を発見することも重要と思われます。何らかの症状がある場合、また動脈硬化が心配な方は担当医にご相談下さい。
(高松平和病院)
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