【会長理事緊急声明】
新型コロナウイルス感染症がもたらす様々な困難を、医療福祉生協の「協同の力」で乗り越えましょう!
2020年4月27日
日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 髙橋 淳
全ての会員生協と、組合員の皆さんへ
新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)が瞬く間に全国へ広がり、国民のいのちとくらしを脅かしています。政府は4月7日に、7都府県を対象に特別措置法に基づく新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を発令し、16日には対象地域を全国に拡大しました。国民に対して外出や営業の自粛、テレワークの推進を強く要請していますが、休業補償等の措置が不十分な中、事業者等の戸惑いは大きく、外出8割削減に結び付く休業の徹底とはなっていません。また、休業・廃業等による収入の激減や失業により、生活の糧を奪われた人々の悲痛な叫びも起こっています。
全国の医療福祉生協の事業所では、昼夜を分かたず医療・介護の提供を懸命に続けています。多くの職員は「いつ感染するかわからない恐怖」「職場にウイルスを持ち込んでしまう恐怖」と闘いながら、地域住民のくらしに寄り添い、地域医療と住民のいのちを守っています。いくつかの事業所では、帰国者・接触者外来、発熱者外来、陽性患者の入院受け入れを行っています。
また、この間、全国いくつかの会員生協の事業所では、陽性患者の判明や職員の陽性者判明があり、一定期間の病棟閉鎖や外来休診等を余儀なくされたところもあります。それでも自治体からの患者受け入れ要請に応えるなど、困難に立ち向かい奮闘を続けています。
あらためて、全国の医療福祉生協の役職員と関係者の皆さまに、心より敬を表するとともに感謝申し上げます。
医療・介護の現場では、マスクや消毒液などの資材が逼迫しており、感染対策による業務量の増加と緊張感の持続で職員は極度に疲弊しています。事業所は感染予防対策のための支出増や、一律休校や診療休止による職員の休業補償、受診控えや健診の先送りによる事業収入の減少などにより、経営状況の悪化はきわめて深刻です。「医療崩壊」「介護崩壊」とともに、事業所が立ち行かなくなる「経営崩壊」の危険が間近に迫っています。
このような厳しい状況に追い打ちをかけるように、感染者とともに医療従事者に対する偏見・差別も起きています。濃厚接触者ではないが「こどもの通園を断られた」、「看護師の夫が勤務先から出勤停止といわれた」など、不安や情報不足が背景にあるにせよ、残念な事例も広がっています。感染は誰かを非難しても収まりません。分断や敵対を退け、お互いを思いやる行動を広げない限りCOVID-19を克服することはできないでしょう。
このような現状を憂い、インターネット上などで、医療従事者を励まそうという動きが起こっています。会員生協でも、地域組合員の皆さんが何かできることはないかと、休校対応への協力や不足するマスクを手作りするなど、医療・介護現場の職員を励ます行動が始まっており、そのことで職員も元気づけられています。
いま、私たち医療福祉生協の強みである、「でかける・つながる・安心を結ぶ」組合員活動がままならない状況です。班会やサークルが開けない、機関誌の手配りでの対話や見守りができない、子ども食堂が開けず支援ができない、お互いさまの助け合い活動ができないなど、医療福祉生協らしい協同のとりくみが大きく制約を受けています。しかし、組合員が困りごとを抱えている今こそ、医療福祉生協のネットワークと総合力を発揮して、今できるやり方を模索することが求められているのではないでしょうか。知恵を寄せ合い、今できる「人と人とのつながり方」を探っていきましょう。
医療福祉生協には、これまでも全国で発生した大震災や水害など度重なる災害の時、組合員の連帯と協同の力を結集して乗り越えてきた実績があります。「明けない夜はない」という言葉があります。「コミュニティの持続可能な発展のために活動する」と宣言する国際協同組合同盟(ICA)の一員として、希望を持って心を寄せ合い、この難局に立ち向かっていきましょう。